言いたい事は今日言いたい

思いの丈をつらつらと。好きな人が健やかでいてくれるのが一番のファンサ

俺節を通して観た安田章大

約一ヶ月続いた俺節が終わった。
今まで色んな舞台を観る機会はあったが、
こんなに自分の心に棲み付いて離れない舞台に出会ったのは生まれて初めてではないかと思う。
 
 
フォトコールの映像を
ワイドショーで初めてみたとき、
痩せ細ったヤスくんの姿をみて

安田章大俺節に、海鹿耕治に、
魂を連れて行かれてしまう気がして
すごく怖くなったのを覚えている。
 
安田章大
これからどこに行ってしまうんだろうと。
 
時間もだいぶ経ってしまいましたが
忘れたくない記憶なので、
長々と書かせて頂きます。
よろしくお願いします。
 ※レポなのでガッツリネタバレしてます。
 (もういいよね………?)
文中に出てくるセリフもかなりニュアンスです。


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舞台のあらすじをざっと説明すると、
青森出身の高校生、海鹿耕治(コージ)が
演歌歌手を目指し上京し奮闘する青春群青劇。
(ほんとざっとまとめたけど、
こんなんじゃまとめられないくらい
熱いアツイ話が沢山詰まっている) 
 
私は東京公演(6月10日)と大阪公演(6月27日) を鑑賞。

一階席・二階席とそれぞれ違った場所で観ることができた。
 
開演。
黒い幕に吹雪が写し出される。
コージの祖母と取り立て屋のやり取りが終わり
幕が上がると、駅のベンチに座り吐く息で暖を取りながら電車を待つコージの姿。
祖母から背広を渡され
「東京は謝りながら行くところでねぇ、なんも恥ずかしいことはねぇんだ。」
と言われた後に、コージが返した
 
「おら、もう負けたくねぇ、笑われるのもこりごりだ…でもおらにだって武器あるって気付いたべ。

世の中とっくり返してやれるもの!
 
と力強く吐き出すセリフ。

そして現れる俺節のタイトルに
冒頭から鳥肌が止まらなくなる。
これからどんな姿が観れるのか、

たまらなくドキドキした。
 
舞台は変わり東京。
上京したてのコージは常に自信がなくて
自分のシャツの裾をモジモジ触ってる様子。
ジッと地面を見つめてから勢いよく顔上げないと相手の顔も見れない。
いざ歌うことになっても
ギャラリーの顔を見た途端言葉が出ない。
 自分の気持ちが言葉に出せないことに苦悩していた。
 
それから後の相棒オキナワ(福士誠治)に出会い
みれん横丁へ…
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そこでヤクザに追われるストリッパー、テレサ(シャーロット・ケイト・フォックス)に出逢う。
 
ヤクザに捕まり連れて行かれそうになるテレサを助ける為に
殴られるコージのシーンで
「待て!ばっちゃんの背広に謝れ!故郷(くに)に謝れ!おらぁこの背広に故郷背負ってんだ。…嫌んだば、殺せ!!!!!!」
とカッと目を見開いて言った後殴られるシーンは
本当に死んでしまうのではないかと入り込んでしまった。
 
その後、
「今度はオラの番だべ……オラの歌で攻撃するべ…」と発し
背中の柱を握りしめ立ち上がり歌い始めた
吉幾三の「港」


これがコージの根っこに潜んでいた
アツイ魂の部分なのかと
突きつけられ、途端に涙が止まらなくなった。
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普通に考えたら
暴力に対して歌で攻撃するなんて
成立しない行為だし、下手したらシラケてしまってもおかしくない。
なのに
あの舞台では完全に成立していた。
これが安田章大の歌の凄い所だと思った。
とんでもない所に来てしまったと思った。
 
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結構真面目に書いたが、
もちろん笑えるシーンも多々あった。
ストリップ劇場のテレサを巡るオークションシーン、
コージとテレサがどんどん惹かれあっていくシーン(信玄餅のシーンは何度思い出してもニヤニヤが止まらなくなる  私の故郷も雪降るよ!←)
コージとオキナワの泥酔シーン
(ふにゃふにゃになるコージと志村けんになるオキナワは心のHDDに保存した)
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ホントはもっと沢山ある。書ききれないのが本当に悔しい!!! 

 
一幕では二人の重要人物に出会う。
大物演歌歌手の北野波平(西岡徳馬)と流しの師匠大野(六角精児)だ。
二人は歌と向き合いたいのに上手く向き合えないコージに対しこの言葉を投げかけた。

「君の歌の情景の中心にはまず君が立つべきだ。歌で嵐が吹き荒れるなら、ずぶ濡れになるべきは君だ。人は君が傷つくことを悲しみ涙するのだ。歌で誰かが死ぬのなら、客を殺すな!君が死ね!」(北野波平)

「お前は思っていることが上手く言葉にできなくて、やっと喉から出てきてみたら歌になったんだろう?生きづらいだろう・・そんな生き方」(大野)

このセリフはこの舞台においてとても重要なセリフだった。
 
 
物語は一幕のクライマックスを迎える
地方巡業に行くことが決まったテレサ
テレサを奪うためにオキナワをはじめ、みれん横丁の住人達と共にヤクザに立ち向かう。
 
舞台の上にいるテレサに向かい
舞台下の階段に足をかけながら熱唱するコージ。

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「生まれる前から 結ばれていた そんな気がする 紅の糸 だから死ぬまで ふたりは一緒 「あなた」「おまえ」夫婦みち 命くれない 命くれない ふたりづれ」
 
かつてテレサに言葉の意味を聞かれた時に
「死ぬまで一緒」という意味だと話した
命くれないだ。
そこからみれん横丁の住人と共に歌う
大合唱の命くれない
迫力が凄すぎて、気づいたらボロボロ泣いていた。全身の毛穴が開く感覚ってこういうことかと体感した。
そのままテレサを連れ去り会場の扉から去る
コージと、それを追うオキナワを目で追いながら一幕が終了した。
放心状態だった、
お手洗い行く気力もなかった。
立てなかった。

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二幕では
コージ・テレサ・オキナワが
3人で暮らし始めていて、
コージとオキナワは歌のオーディションを
何度か受けるようになっていた。
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しかし、
今のこの生活がずっと続けばいいなと
どこかで甘んじるコージと
オリジナルの曲で勝負しこのままの状況から脱却したいオキナワの
気持ちのベクトルは次第にズレていった。
 
そんな折、あるオーディションの審査員をしていた
弱小芸能事務所
戌亥企画の社長戌亥(中村まこと)に目を付けられ、
コージは歌手デビューのチャンスを掴む。
ただし、デビューできるのはコージのみの条件付きだった。
 
コージの元を去る決意をするオキナワ。
その二人をみて自分はコージの元から離れるべきと思い始めるテレサ
ここからの流れは常に泣きながら観ていていた気がする。
 
そして、舞台が始まる前からずっと気になっていた
コージとテレサのラブシーン。
私の記憶の中では安くんのラブシーンをみたことがない。
どんな気持ちになるのか色んな思いを張り巡らしていたけど
そんなことどうでもいいくらい素敵なシーンだった。
自分は売春婦だったから抱けないのかと悲しそうに問うテレサに対し
「絶対にそんなことはねぇ!抱きてぇんだ・・・お前のこと凄く。
抱けっから。お前の過去も未来も何もかんも抱くから。」
そういって抱き合いなだれ込むシーンは今まで生きてきた中で上位に入る名ラブシーンだった。ほんとにいいセリフだと思う。
 
翌朝、目覚めると部屋にいるのは
2人の警官。
不法就労だったテレサの強制送還がきまった。
必死で逃がそうとするコージを
自分で出頭したのと諭すテレサ
 
「わけわかんねぇよ…」と涙するコージに
「コージは歌を歌いなさい。私のためにじゃなくて自分のために歌いなさい。」
と警官と共に一緒に住んでいた家を出る。
 
何度も何度も何度も引き止めるコージに対し
「私の悲しい顔は忘れて?悲しいことがあったら、私のこの笑顔をだけを思い出してほしい。
コージ、成功してね。立派な歌手になってけろだ。」
と笑って去るテレサの笑顔で
涙腺が崩壊した。

愛する人を救うことも出来ず、
相棒も失い、
1人部屋に残されたコージが
下着姿で敷布団にうずまり
泣きながら歌った
「引越しをするならおしえてよ」は
胸が苦しくて張り裂けそうになった。
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嗚咽まじりになってしまい、
席周辺の方には大変かたじけなく感じております。本当に苦しかった!!!
 
俺節はそういうシーンが随所にあった。
何故か分からないけど自然と涙が
溢れて止まらなくて
でも笑えるシーンも多いから
「もうーーー😭……!!!!泣」となりながら
笑いながら泣くという
生きてる中で中々経験できない感覚に陥ることが何度も何度もあったなぁ。
 

 

オキナワもテレサも失ったコージは
吹っ切れたかように津軽弁から標準語に変わり、
淡々と歌を歌うようになった。
吹っ切れたようにすることで
オキナワをテレサを忘れようとしていた気がした。
二階席から双眼鏡でみたときに、
明るく振舞っているけど
時折切ない表情を出すコージに
胸が苦しくなった。

 

デビューすること、
デビューする為に折り合いをつけないといけないこと、
でも曲げられない頑固な信念。
複雑に絡み合い
ついに爆発したコージは
感情的な行為でデビューの話も
白紙になる。

 

身も心もズタボロになり
かつて住んでいたはじまりの場所、
みれん横丁に戻ってくる。
(丁度同じタイミングで長らく横丁を離れていた流しの師匠大野も横丁へ帰って来た際、コージも帰ってきてるのか!?のセリフの後、「ここにいるよーー!」と勢いよくごみ捨て場から出てくるコージの可愛さに悶えたと同時に純粋に驚いた。笑)

 

自分はもう歌いきった。
歌手に向かなかったんだ、歌に未練はないと言うコージの元に現れたのは

北野波平、
そしてコージの元を去ったはずの
オキナワだった。

 

コージに会わない間、
オキナワは上手くいかないことへの苛立ちと
期待したら裏切られる、そんな思いに打ちのめされ、ヤクザな仕事に手を出し
荒れに荒れていた。居場所のないオキナワは
恐喝目的で北野波平に会いに行き、
北野に軟禁される。

北野がオキナワを軟禁したのは
お前は恐喝犯ではなく、歌を作る人間だと気づかせる為だった。

それに気付き、改めてコージの為に作った曲をコージに届ける為にオキナワは現れたのだ。

しかし、コージは受け取らなかった。
「余計なものがなくなってやっと自分だけになったのに、自分のことも重荷に感じてるんだ…今更新たに何かを背負うなんておっかねぇんだ…勘弁してけれ…」

力なく言うコージに対し
「俺はこの歌を否定されたら自分の全てを否定される…そんな歌を書いた。…なのに見る前から否定しないでくれよ。
これは、お前に託したからな。」
そういって歌が書かれた紙を押し付け
立ち去った。

託された紙を読み涙が止まらないコージ
テレサ……会いてぇよ……」
と力なく呟く場面では
会場のすすり泣く音が
よく聞こえたような気がする。
この場面は一番好きだった。


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歌手デビューを台無しにした代償として
コージは
アイドルグループ
プラネットギャラクティカ(光GENJIみたいな、アイドルグループ。通称:プラギャラ)の前座でステージ立つことになった。

同じ頃、
テレサは強制送還当日を迎えた。
テレサはコージの家を出てから
日本の拘置所に拘留されていたのだ。

離れていてもいつもいつも心の中にコージの歌が流れていたと話すテレサ
面会に来たストリップ小屋の仲間が
コージの前座のことを話し、
日本に滞在できる残りの時間が迫る中、急いでコージのいる会場に向かった。

 

会場には
多数のプラギャラのファンが集まり
(会場横の扉から集団で出てきた)
前座のコージがステージあがる。

コージがステージに立つと
プラギャラを待ちきれないファンが
一斉にブーイングを始める中
雨が降り始める。
(これくらいのタイミングでオキナワも会場横の扉からステージに向けて登場した)

自分のない歌を歌い
早くステージから下がろうとしたコージの
目の前に現れたのは
拘置所から駆けつけたテレサだった。

もう会えないと思っていたテレサを目の当たりにし
「今でも好きだ死ぬ程に」と星影のワルツの一節を歌うコージ。

「最初のコージの歌は全然心に響かなかった。コージの歌に足りなかったもの、それは私。
コージと私でコージだから私がいないとコージじゃない。私とコージで私だからコージがいないと私じゃない」と必死に伝えるテレサ
驚きを隠せないコージ。

その言葉は
オキナワがコージに託した曲、
俺節」と全く同じ歌詞だったからだ。

 

ひとりで生きていけるのと
つよがり放した手だけれど
夜と朝の境目辺りに見る夢で
お前の名前を呼んでいた

おーいおーい ねぇ
届いているかい
もっと傍まで来てくれよ
心の中まで入っておいで

俺が俺と言う時は
俺とお前で俺だから
俺の俺節 お前節

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この曲を大雨の中
アウェーのプラギャラファンに無数のゴミを投げつけられながら歌う姿は、
海鹿耕治の生き様を体現しているようだった。

 

歌の途中、飛行機の時間になり
会場を離れるテレサを見つめ
熱唱するコージの姿に

会場のすすり泣く声は止まらなかった。
私も涙が止まらず
辛すぎて思わず顔をタオルに埋めてすすり泣いてしまった。舞台でこんな経験をするなんて思ってもみなかった。

 

翌朝、
朝刊を見ながら
どうしてあんなにすごいステージだったのに
新聞に載らないんだ!!!

と憤慨する横丁の住民。
そう思ってる住民があちこちにいた。
そんな折
コージとオキナワが登場すると

「俺達のヒーローだ!!!」
と2人にかけよる横丁の住民。
もみくちゃになりながらも

照れ笑いし恥ずかしそうに
頭を搔くコージの姿で
舞台は幕を閉じた。

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カーテンコールでは
みれん横丁のテーマを合唱し
会場全体が手拍子に包まれた。

その瞬間
海鹿耕治から安田章大

やっと最後に垣間見えて
また涙が止まらなくなった。


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冒頭でも話したとおり、
観る前までは
安田章大俺節に、海鹿耕治に、
魂を連れて行かれてしまう気がして
すごく怖くなっていた。

 

実際に目の当たりにした
舞台には安田章大は1ミリも存在しなかった。

代わりに存在したのは
海鹿耕治が1人の人間として
命を吹き込まれ、安田章大を通じて
人生を全うした姿だった。

 

舞台が終わって、一ヶ月以上経ったが、
未だにコージ何してるかな?とか
横丁のみんなは元気かな?とか
気にする時がある。気づいたら横丁のテーマとか俺節を口ずさむときもあったりする。

私の中で、いや
俺節を観た人の中でこうやってずっと
生き続けていくんだろうなと思う。
それくらい濃厚な素晴らしい舞台だった。

 

最近の安くんのブログで
やっと身体の中から海鹿耕治を吐き出せた感じがすると書いてる一節や、

舞台期間中、生まれて初めて死ぬんじゃないかと思うくらい追い込まれていたこと、

コージを維持するための徹底的な自己管理。

ブログを読んで涙がまた止まらなかった。

 

安田章大がここまで命を削って向き合った
俺節
という舞台を目の当たりにできて
本当によかったなと思う。

間違いなく

安田章大の代表作だ。

 

 

 

余韻に浸る間もなく
5大ドームツアーも始まったが
俺節を経て更にパワーアップしたであろう

ヤスくんに会いに行けるのが

とても楽しみだ。

 (コンサートの話はまた後日)

 

へば!
またコージに会えることを願って。

大好きでした。

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SP Thanks

イラスト/ めんたい子先生!

忙しい中沢山の素敵なイラストを描いてくれて本当に感謝です!!

めんたい子氏が描いた

上を下へのジレッタのレポが素晴らしいので

是非チェックを!

 

 

 

#舞台 #俺節 #安田章大